東洋ゴム工業 産業用ゴム製品(シートリング)問題に関わる原因究明及び再発防止策について



2017 年 3 月 24 日
報道関係各位
産業用ゴム製品(シートリング)問題に関わる

原因究明及び再発防止策について

東洋ゴム工業株式会社
東洋ゴム工業株式会社(社長:清水隆史)は、当社および当社子会社である東洋ゴム化工品株式会社(以下、CI)の明石工場が製造し、特定顧客に対して販売してきた産業用ゴム製品(シートリング)の一部において、検査員が測定検査を省略し、過去の検査データを不正に報告していた問題について、当社が進めてきた原因究明、及び再発防止策の検討についてお知らせいたします。
■原因究明について
①動機等
ヒアリングや収集資料等により、検査業務においては過剰な業務量や強い心理的負荷があったとは認められず、検査員(技能職、以下「当該検査員」)の「測定が面倒であった」との供述からも、本人の個人的怠慢が主たる動機であったことが認められます。なお、不正行為は特定の一人の検査員によって検査されたもので、他の検査員の行なった検査においては不正の疑いのある検査結果は認められませんでした。
②規範意識の鈍磨
当該検査員に、不正を行なってはならないという根本的な規範意識が欠けていたこと、顧客との合意に基づく検査の意義や位置づけなどに対する正しい理解が及んでいなかったこと、技能職にまでコンプライアンス教育が十分に行き届いていなかったことなどが一因と考えられます。
③上長による管理・監督不徹底
ヒアリング等の結果から、当該検査員の上長による日常的な業務観察が疎かになっていた実情があり、これが不正行為を許し、長期間にわたって発見できなかった原因の一つと考えられます。
④検査作業への不十分なけん制
測定は手作業を要する箇所が多く、これらを基本的に当該検査員1 名で行なっていたこと、また、数値入力作業においては過去データへのアクセスが可能で、状況が外部からは見えづらい閉鎖的なスペースで行われていたことから、日常的な監視の目が行き届きにくい状態の中で意図すれば容易に不正が行なえるものであったと考えられます。
■再発防止策について
今回の問題発生後、初期段階で確認できた不正内容、及びこれを誘引したと推察される環境与件に 照らして、直ちに当該生産現場において故意の不正を阻むための検査工程の構築(採寸作業の自動化、検査の複数人化、監視カメラの設置、検査済みデータへのアクセス制御ほか)、同工場内でのコンプライアンス教育の再展開など、実施すべき緊急的な措置をすでに2 月中旬より講じています。
当社は、2015 年 12 月 25 日、「信頼回復に向けて」と題した一連の問題に対する再発防止策を公表し、2016 年度を通じて、抜本的かつ優先的・緊急的に取組む「緊急対策」、中長期的な視野で継続的に 取り組む「徹底対策」を推進してきましたが、この途上で今回の問題が発覚するに至り、かかる事態の重大性を大変重く受け止めています。
原因究明、及びこれまで取り組んできた一連の問題に対する再発防止策の実効性等の評価、検証を行なったうえ、これらを土台として、再発防止策を再構築し、2017 年度より、これまでの取り組みをさらに深化、充実させるとともに、改めて、この推進・管理を徹底していく所存です。
Ⅰ.シートリング問題の原因究明を受けて
当社は、今回の問題の原因究明から明確になった課題をもとに、主に以下の点を新たに網羅して現行の再発防止策に取り込み、施策として実行していきます。
①本不正行為では過剰な業務量や強い心理的負荷といった外発的事情が認められず、自己中心的な感情(内発的事情)によって規範の壁を越えたという実態に照らし、本来、問題行為に至る前に働くべき規範意識が鈍磨していたことを重く受け止め、コンプライアンス意識の向上や企業風土の改善に向けた取り組みを改めて強化・充実させていきます。
②上長は技能職の評価において業務上の処理個数やミス回数等を重視し、本来、評価のベースとすべき日常的な業務観察が十分とは言えませんでした。今後は、各工程に係る作業標準の整備や監督者が行なうべき職務の明確化、これに基づく監督者の再教育等により、きめ細やかな現場管理を再構築していきます。
③当該検査の工程においてはけん制が効かず人為的な操作の入り込む余地がありました。故意が働けば不正が行なえる業務環境となっていたことを反省し、今後、こうした環境を排除していく措置、業務監視の行き届いた工程環境の確保を徹底していきます。
Ⅱ.一連の問題に対する再発防止策の実効性等の検証について
当社は、免震ゴム問題、防振ゴム問題を受けて、品質保証部門を中心とした抜本的な工場工程の立て直し、コーポレート部門を中心とした全社的なコンプライアンス、およびガバナンス体制の整備や社員教育の徹底、企業風土の改善など一連の問題に対する再発防止策に取り組んできました。これらは、一定程度の実行成果を蓄積し始めている一方、その改革が道半ばであり、至らない点が残されていることを確認しました。今回の問題を受け、一連の問題に対する再発防止策の実効性に照らして、主に以下の点を今後取り組む再発防止策に生かしていきます。
①CI 明石工場における抜本的な改革に取り組んできたものの、特に少量多品種生産現場の検査工程では未だ個々の技能職の手作業による工程が存在し、測定の自動化等が展開途上であったことなど、故意の不正行為抑止や早期発見へのしくみ構築が十分ではなかったといえます。
今後は、可能な限りの自動化を図りつつ、ビデオカメラの設置や技能職の多能工化による作業 ローテーションの導入のほか、業務内容に基づいたコミュニケーションの充実といった施策の組み合わせにより、不正の抑止や早期検出のしくみを作り上げていきます。
②免震ゴム問題の発覚以降、これまでにコンプライアンス遵守や規範意識向上のための学習機会を相当規模で創出し、少なくとも全社的には既に一定の成果をもたらしていると考えています。
また、これまで間接部門に所属する技術職や事務職への教育を重視し、まずこれらを対象に先行展開してきました。しかし、今後の拡充を予定していたものの、生産部門等に在籍する技能職やパート・派遣社員などに対しては、学習機会が十分であったとはいえませんでした。
既にCI 明石工場では技能職を含めた全職員を対象に本事案を題材とする緊急のコンプライアンス研修を実施していますが、今後は、技術職や事務職を主な対象とする取り組みの継続に加え、生産部門等に在籍する技能職やパート・派遣社員までも含めたコンプライアンス教育の網羅・ 徹底を早急に実現していきます。
③コンプライアンス教育の展開に積極的に取り組んできたものの、現場における規範意識の欠落した行為を防ぐことができなかったことに照らせば、生産現場の外、いわゆる本社からの教育的施策には、現場における問題意識との乖離など一定の限界が伴う可能性の想定も必要との認識に至りました。今後は現場で働く従業員らの規範意識に確実にアプローチし、現場が主体となって 改善サイクルを構築する活動の有効性を生かしていきます。
④今回の調査の過程では、顧客との取り決めに基づいて長期的に継続してきた抜取り検査の頻度が、その不良率等に照らして品質を担保する上での妥当性を有しているかといった検討の必要性を認識しました。今回の問題の原因に直接的な関連性はないものの、より適正な品質保証を行なうという目的から、各検査内容はその後の技術革新や状況の変化等をよく検証し、必要に応じて顧客の同意を得たうえでその見直しにも取り組んでいきます。
Ⅲ.今後当社が取り組む再発防止策について
当社は、現行・再発防止策の「緊急対策」の中で今後継続していく施策、及び上記Ⅰ項、Ⅱ項に基づく施策を、『品質保証改善ならびにコンプライアンス啓発強化』として括り、これを徹底していきます。また、現行・再発防止策の「徹底対策」は、『コーポレート基盤の継続的改善・充実』として括り、この深化・推進を展開していきます。
また、進捗管理・推進においては、『再発防止策推進本部』を立上げ、本部長にコーポレート統括部門管掌役員が就くとともに、副本部長には品質コンプライアンス統括部門管掌役員および生産統括部門管掌役員が就き、本再発防止策全項目についての進捗を常務会、取締役会に定期報告する体制を 執るとともに、四半期ごとに当社ホームページでの公表を継続していきます。
公式ページ(続き・詳細)はこちら
http://www.toyo-rubber.co.jp/uploads/2017/03/20170324.pdf

■シートリング問題を受けて再構築した再発防止策一覧 ※青字 ●:新たに採り入れて対策していく実施項目 1. 品質保証改善ならびにコンプライアンス啓発強化 ① 全事業にわたる全社的再監査の実施 (1) 再監査実施 ⅰ)海外ダイバーテック事業拠点の再監査実施 ⅱ)ダイバーテック事業拠点の品質システム維持、管理推進 ⅲ)タイヤ事業全拠点の品質システム維持、管理推進 ② CI 明石工場の抜本的改革 (1) 技術および業務知識の 引継体制の整備・強化 ⅰ)業務引継ぎルールの遵守 (2) コミュニケーションの活性化 ⅰ) QC 工程図を通じた部・課内点検活動 ⅱ)人材育成活動 ③ 品質保証・管理体制の再構築 (1) 品質保証体制の組織面での強化 ⅰ)品質管理業務分析 ⅱ)人員の補充 ⅲ)品質管理業務分析(検査内容の見直し) ● ④ 生産拠点における作業・監査体制/教育の強化 ● (1) 作業体制の見直し ● ⅰ)技能職の生産現場における複数人員体制の徹底 ● ⅱ)検査要員の独立性確保 ● (2) 監督体制の整備 ● ⅰ)故意の不正を阻む検査工程の構築 ● (3) 現場教育の充実 ● ⅰ)現場主体の小集団啓発活動の導入 ● ⅱ)作業標準(SOP)の検証と監督者教育の実施 ● ⑤ コンプライアンス強化徹底 (1) コンプライアンス啓発強化および推進 ⅰ)コンプライアンスに関する組織体制の運用強化 ⅱ)コンプライアンスオフィサー制度の役割認識や心構えの 再教育 ⅲ)現業社員に対するコンプライアンス教育の充実 ● ⅳ)事案報告の再発防止策に対するフォローアップ体制の確立 2. コーポレート基盤の継続的改善・充実 ① ガバナンスの強化徹底 (1) リスクを意識した内部統制の強化 ② 不正行為の早期探知、危機管理体制の確立 (1) ガバナンス・リスク・コンプライアンス再構築プロジェクトの具体的実行 ③ 社員教育の再徹底と企業風土の抜本的改革 3. 再発防止策の推進と管理 以 上

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